【本の紹介】
「耕さない」「草や虫を敵としない」「肥料をもちこまない」を基本とする「自然農」を確立し、リジェネラティブ(大地再生)農業の先駆者ともなった川口由一。いのちの道、人の道、我が道を同時に追求する川口の生きかたに、環境活動家 辻信一が迫る対談集。2011年に刊行された『自然農という生き方~いのちの道を、たんたんと』(大月書店)の増補改訂版。川口の死の半年前に行われた歴史的な聞き書き「川口さんの遺言」、半世紀にわたる多くの貴重な写真を収録。
<増補章「川口さんの遺言ー 希望はある、すぐ足もとに」より>
「この宇宙のできごとは、すべて無目的なんです。人類が生まれたのも、地球が生まれたのも、いろんな星や太陽が生まれたのも、目的があってではない。やがて死んでいくのも目的があってじゃない。
・・・過去につくられたもの、特に紀元前のものには、本当に美しいものがありますよね。
・・・本来のものを見失っているということに気づいて、それをとりもどしさえすればいいのです。」
「いのちのすばらしさに感動するきれいな心があるかないか、ですね。他と比べることはないんです。
・・・一見弱々しい子もいるんだけれども、その子の曇りのない心で行われる小さな行いの美しさにこそ、真(まこと)があるんです。」
「純粋な気持ちでね、いのちのひ弱な一穂(いちほ)の仕事に感激する心をもっていれば、すべてはうまくいくんですね。」
「いのちに対して謙虚であることですね。そして、真理に対しても謙虚に、他人に対しても謙虚に。」
「お米に対しても謙虚に、自然に対しても謙虚に、誠実に、誠実に」
「謙虚に、自ずから然(しか)らしむるの「自然」に従うんです」
【もくじ】
はじめに 辻信一
第一章 自然農はいのちの道
土はいのちたちの歴史
「耕さない」が恵みをもたらす
「見事に生きる」
「足るを知る」生きかた
100%自力、100%他力
いのちの道をはずれない
いのちの道、人の道、我が道を生きる
自分の主になる
孤立を恐れない
幸せはどこにあるのか
第二章 美しい生きかたを求めて
戦争と家族
子ども時代
農家の跡とりとなる
芸術家になりたい
美醜の別を身につける
自然農に反対をした母親
自分のやり方で自然農にとりくむ
お金は後からついてくる
子どもの誕生
第三章 答えはここに
漢方医療と病からの自立
弱さ、強さ、そして病
投げださないで
分を生きる
再び、強さと弱さについて
生きるのも、死ぬのもいのちの営み
若者よ、答えはきみのなかにある
自然農という生きかた
おわりに 川口由一
川口さんの遺言ーー希望はある、すぐ足もとに
<2022年11月、奈良・桜井の川口宅にて>
永遠に生きるかのように学ぶ
自然農は農民だけのものじゃない
教えはあちこちで生きている
死ぬまで成長したい
小さき者の小さき行いにこそ真がある
あなたが気づいた時が、ちょうどよいときである
あとがき 辻 信一
自然農という生きかた (著)川口由一+辻 信一
<発行>
2023年9月11日
<判型:頁数>
四六判変形:240
<ISBN:Cコード>
978-4-990545-57-4:C0045
<装丁・イラスト>
大岩さや(foonie)