中南米の動物ナマケモノに出会ってから25年。ぼくはタイ北部の森で、今度は、自らを”なまけ者”と呼ぶ人間たちと不思議な縁で結ばれ、スローライフの極意を伝授された。ーー辻信一
レイジーマン(なまけ者)から学ぶ自然を尊ぶこころ、自然とともに生きる知恵。少数民族を襲う戦争、麻薬、貧困、自然破壊…。絶望から希望へと歩んだカリスマ的指導者ジョニとそれに続く若者の物語。その知恵と愛が危機の時代に生きる人類の未来を照らす。
六万年前にアフリカ大陸から狩猟採集しながら世界を彷徨った人類は、五千年前に「農業革命」といわれるメソポタミア文明を築いた。しかしその文明は、46億年かけて育まれてきた地球の生態系の破壊の始まりだった。そして産業革命が自然の自浄能力を奪う決定的な要因となった。
ジョニさん家族が営んできたこれまでの暮らしは、見事に人類が侵してきた過ちに気づき、オルタナティブな生き方の証しを僕たちに提案している。人間の傲慢さを排し自然と共生してレイジーに生きることがその豊かな恵みを与えられ、持続可能な社会を享受できると。
レイジーマンの生き方、暮らし方は、いまコロナ禍の世界に、僕たち人間がどう生きればいいのか、その方向を示してくれている素晴らしい物語である。
吉岡 淳(カフェスロー代表)
カレン族の人々は森林破壊を阻止するために、木々に法衣の布を巻き「僧侶」とみなすことで、5千万本の森を守った、といいます。ずいぶんトリッキーな作戦のようにみえるけど、ここに深い意味を感じます。
「木」は、利他の存在そのもので、僧侶のように霊格が高く万人に施しを続けている。森は、寺院であり、深い学びの場である。カレン族の魂は、そう直感しているようにみえます。それは、しめ縄を巻いたご神木を持つボクらにも、大切なことを思い出させてくれるのです。
オオタヴィン(映画監督/「まほろばスタジオ代表)
あらゆるエレメンツ、あらゆる生命のつながりの中で調和して生きるレイジーマンの哲学には、私たちがゆっくり歩むことによって見失わずにすむ大切な本質を再認識させてくれる。
NOMA(モデル/アーティスト)。
自然の中で遊ぶスポーツが好きな僕は「雪山や海がドアを開けてくれるまで待たなければいけない」ことを経験的に学んだ。人間の都合を押し付ければ痛い目に合うからだ。けれども、カレン族の生き方は「その時が来るまで待つ」ことが人間の生そのものまでを豊かにしてくれると改めて気づかせてくれた。こんな時代だからこそ、「ナマケモノ」という言葉が持つ本当の意義を多くの人と分かち合いたい。
辻井隆行(社会活動家/元パタゴニア日本支社長)
このなかで紹介される言葉を、自分たちとは違う、遠い国の、森のなかで生活する、特殊な人たちが発したものだと片付けずに、そこからどんな示唆を見つけ出すのか。そのことが試されている気がする。
山崎亮(コミュニティデザイナー/社会福祉士)
なまけもの=自然の力を受け取る生き方。これ今の社会に一番必要な力なんじゃないかな? そんな気づきを与えてくれます。
谷崎テトラ(放送作家・京都芸術大学客員教授)